地理研究部4 大地形-1
美咲「大地形ってあるやん。」
穂高「安定陸塊、古期造山帯、新規造山帯というのがある。」
美咲「で、安定陸塊ではレアメタルやその他の金属、古期造山帯では石炭、新期造山帯では石油がとれるところが多いって聞いたことがある。」
穂高「まったくその通りなんだけど、理由まで知ってる?」
美咲「さあ、なんでだろう。」
穂高「では、順番に説明していこう。」
- 安定陸塊
- 古期造山帯
- 新期造山帯
美咲「安定陸塊ってアフリカとか北米・南米とか...」
穂高「オーストラリアもそうだ。」
美咲「地質学的な世界地図ね。」
美咲「この二者の違いは何?」
穂高「二宮書店さんの図を引用しよう。引用元のURLはhttp://www.ninomiyashoten.co.jp/chiri_q_and_a/q002 。」
美咲「先カンブリア時代の岩石が底盤(バソリス)に来ているのは一緒だけど...」
穂高「剥き出しになっているのは楯状地。その上に古生代以降の岩石があれば卓状地。」
美咲「で、さっきの図を見ると、どちらもアメリカ大陸、アフリカ、インド、豪州に安定陸塊が分布しているのね。」
美咲「で、あと中国は?」
穂高「そこもそうだし、東欧にも分布している。」
美咲「だから、金属資源があそこらへんに多いのね。」
穂高「で、今から見ていくのは、さっきの地図の緑の部分。」
美咲「安定陸塊が出てきたから、古期造山帯?」
穂高「さっきの地図だと、古期造山帯と新期造山帯が一緒くたになっている。緑の部分は造山帯だ。ここでは取り扱わないけど、青は盆地、紫は巨大火成岩岩石区、黄色は大陸地殻延長部な。」
美咲「古期造山帯って、なだらかな山脈なんだよね。」
穂高「一概にそうとも言えない。例えば、天山山脈、崑崙山脈は、形成された後に地殻変動を受けたために高い山になった。」
美咲「あとはみんな低いのが多いの?」
穂高「そういうことになる。」
美咲「で、具体的にはどうなの?」
穂高「アパラチア山脈、スカンジナビア半島、ウラル山脈...」
美咲「えー、グレートディバイディング山脈、ドラゲンスバーグ山脈、ペニン山脈...」
穂高「僕と美咲が言った山脈、みな石炭が採れる。」
美咲「昔の筑豊みたいに?」
穂高「それこそそういうことだ。」
美咲「でも、それとそれは関係があるの?」
穂高「じつは関係がない。石炭の分布域と古期造山帯は一致していることが多いけど、造山帯のほうはプレートテクトニクスの理論なんだ。」
美咲「地理の先生、嘘ついてたんかい!」
穂高「いや、地理の先生は便宜上そう言ってただけや。」
地理研究部3 地図の図法-2
前回紹介していない図法についてみていこう。
穂高「いきなりだけど、サンソン図法の地図を持ってきた。経線が正弦曲線でできていて、面積と緯線の長さの比は正しくなるのが特徴。」
美月「地図帳のアフリカ大陸の地図は、大概これでできてるはず。形が歪まないから。」
穂高「でも、ヨーロッパや日本の地図では見ることはない。」
美月「アフリカは歪むけど、その歪む割合は小さく、一方でヨーロッパや日本では大きくなるから。要するに...」
穂高「赤道上の任意の点から外れていくと形が歪むから、赤道付近の地図に用いることが多いからそうなってるだけのこと。」
美月「で、そんな高緯度に向けて使う地図が、モルワイデ図法。」
穂高「サンソンとモルワイデのどちらも正積図法という点では変わらないけど、こっちの方が周辺部でも形がそこまで歪まない。」
美月「ということは、利用法もたいした違いはない。ということね。」
穂高「その通り。そんな二つの図法は、引っ付けることで威力を倍増させる。」
美月「グード図法ね。」
穂高「緯度40度44分より赤道寄りはサンソン図法、極点寄りはモルワイデ図法で描かれる。」
美月「その緯度だと大体五所川原、三沢、北京、アンカラあたり。」
穂高「あと、ニューヨークもそうなる。」
美月「これ、地理が苦手な人にも通じるかなあ。」
穂高「地名がわからない人は地図帳を見ましょう。そうすればわかるから。」
美月「穂高くん、かっこいい!」
穂高 (顔を少々赤くしている。)
美月「あと、いくつかいい?」
穂高「かまへんよ。」
美月「ダイマクション地図。」
穂高「展開図にしてみた地図だね。けど、二つの図面は全然違うように見える。」
美月「そりゃ、目の錯角だね。」
穂高「>--< <--> こういうヤツみたいな。」
美月「そう、そういうこと。もし良ければ、コロナの最中は 今週のお題でもある #おうち時間 になっているしょうから印刷してコピーしていってください。このブログ内の図表は特記がない限りWikipediaまたはフリー素材からの引用なので。」
穂高「ちゃっかり宣伝していくスタイル。」
美月「あとウォーターマンの蝶形投影図はどう?」
穂高「だいぶえげつないの持ってくるな。」
美月「正八面体かと思いきやそうではないし。」
穂高「正三角形の図だってある。Lee conformal world in a tetrahedron、つまりリーによる正四面体での等角地図、とでも訳すのが適当かな。」
美月「わわ、こんなんあるの知らんかったんだけど。」
穂高「そもそもダイマクション地図より後ろは、受験には出ません!なので、この辺は本で言うとコラム的な存在です。ここは。」
美月「あと、数学者ガウスの意外な功績がこちら。」
穂高「スリッパの靴べらにしたくなってきた。」
美月「Carl Friedrich Gauss とJohann Heinrich Louis Krügerという数学者2人が作ったらしい。これでも等角。」
穂高「三角形の図法がもう一つ。フランスの科学者 Édouard Collignon が作成したもの。南半球の拡大が止まらない。」
美月「ハンメル逆方位図法は、もっとえげつない歪みが発生するみたい。この2つを組み合わせて作るらしい。」
穂高「あと米国50州に特化したやつ。まあ、カナダも映るけど。GS50。」
美月「ハワイに行った時、この地図をテレビの天気図で見たことがある。」
穂高「やっぱり地図は奥深いよね。」
美月「架空地域だと特にそう。」
地理研究部2 地図の図法-1
←今回のトークに関するイメージ。(フリー素材。)
美月 「やっぱり世界地図っていいよね。地球儀と違って、距離、面積、方位、角度のうち二つまでしか正しく表せないけど。」
穂高 「何図法が好きなの?」
美月 「うーん、メルカトル図法もいいし、正距方位図法もいいなぁ。」
穂高「好きな子に告白するのに向いているは、やっぱりボンヌ図法だよな。」
美月「確かに形がハート形だからね。でも、気になる男の子に送ってみたけど、あかんかった...」
穂高「とんでもないこと聞いてもうた。すまない。緯線が同心円、経線が曲線。いわゆる円錐図法で正積図法に該当する。」
美月「正積図法といえば、もう一つはランベルト正積方位図法だよね。」
穂高「全然イメージが違うね。どっちにせよ面積と中心からの方位が等しい、ということは変わらないけど。」
美月「そりゃ、右は緯度経度が共に0度の地点が中心だけど、左は北極点が中心だからだよ。」
穂高「あっ、そうそう、これは国連の旗にも応用されている。」
美月「米国とソ連が揉めないようにそうしたからね。」
穂高「大正解。こうすると両国の面積がなるべく等しくなるから。」
美月「あとは正距方位図法ね。」
穂高「航空図に使われることが多いヤツだね、あれは。距離と方角さえ分かればいいから。」
美月「面積はいい加減なヤツね。日本中心のものだと、南米が伸びているね。」
穂高「緯度経度が両方0度、北極点、南極点、日本中心のものを用意してきた。」
美月「あと、紹介してないものあったっけ...えーと、メルカトル図法か。」
穂高「メルカトル図法は16世紀にはすでに存在していた地図。だからこの時代からコロンブスやマゼランが大航海時代を切り拓いていくわけだ。その当時はこんなのだった。」
美月「で、今はこんな感じでしょ。」
穂高「メルカトルの時代でも北極点や南極点は書けてないけど、今でもこれでは書けない。」
美月「面積や距離が赤道上に限って正しく、高緯度になるとどんどん拡大され、しまいに極点で面積は無限になってしまう。」
穂高「それを示す面白い図がある。美月が言ってくれたことを縮約するとこうなる。でも、分布図や世界全図として用いるには問題ない。無住地(アネクメーネ)だから。」
美月「それを改良したのが、ユニバーサル横メルカトル図法(UTM)!」
穂高「そう。我が国の中縮尺の地形図(1:10,000--1:200,000)で用いる図法がそれ。」
まとめ
・世界地図は、距離・面積・方位・角度のうち多くとも2つまでしか表せない。
・ハート形の地図は、ボンヌ図法。
・ランベルト正積図法は、面積こそ正しいが、外縁部の形が歪む。
・正距方位図法は、航空図に用いる。
・メルカトル図法は、世界全図や分布図、航海図に使う。
・UTM図法は、我が国の地形図で使われる。
地理研究部1 地球の姿
標高分布
穂高「なあ伊吹、地球の陸と海との比は7:3なのは有名な話だけど、北半球と南半球ではその比はどうなっているか知ってる?」
伊吹「北半球は2:3,南半球は1:4らしい。」
穂高「案外北半球であっても水陸比は逆転しないものなんだ。」
伊吹「で、その陸地の標高の分布がどうなってたっけ?アジアでは4000m以上の比率が地区別(アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニア、南極)で最高みたいだけど...」
穂高「それでも5%だったりする。一方、ヨーロッパにはなかったりする。」
伊吹「最高峰がモンブランだからね...」
穂高「そのかわりヨーロッパには200m以下の平地、500m以下の土地がかなり多くてこれだけで3/4を占めている。」
伊吹「だからヨーロッパでは農業が盛んな国が多いんだね。」
穂高「その通り。小麦や野菜がそれに該当している。もちろん、畜産もそうだ。」
伊吹「あっ、高いところが多いと言えば、南極もそうだね。」
穂高「まああれは氷河がとんでもなく分厚いから、というのもあったりするけど。1,000-2,000mの土地は23%,2000-4000mは64%と、1000m超えが9割を占めているほどだ。」
伊吹「それと対照的なのは、南米だったっけ?」
穂高「大正解!でも、オセアニアも大概だな。大陸別高度表における見分け方は、南米は低地が多いがアコンカグアみたいな4,000m以上の高山も少しある。でも、オセアニアにはそれらもない。9割を1000m以下の土地が占めていて、200-500mが4割と結構あるのも注目。このへん。」
伊吹「あとはアフリカ。」
穂高「アフリカは地図帳で見ればわかるが、標高的には緑が少ないけど茶色が多いことからもわかるとおり台地が多い。500-1000mが3割あってめちゃくちゃ広く分布している。」
伊吹「で、北米は?」
穂高「余り物で決まり、でもいいがアジアと分布が似ていて4000m以上がほとんどないことで、かな。」
まとめ
・アジアは4000m以上で見分ける。
・ヨーロッパは200m以下の平地が自慢。
・アフリカは台地が多いから、200-1000mの範囲が多い。
・オセアニアは島だらけなので、2000m以上は皆無に近い。
・北米は3000mまで満遍なく分布。アジアと酷似。
・南米はギャップがある。200m以下も4000m以上もある。
・南極は1000m以上がほとんどだが、これは氷河のおかげ。
議論 9月入学論
地理研究部においても、もちろんのことながら現在は活動していない。そうした中で、受験生である穂高と美咲が9月入学について話している。
9月入学の前に
穂高 「ここまで入試制度に翻弄された学年も珍しくないか?」
美咲「そうだよね、英語の外部試験も、受けられる人は記録には残らないもののバンバン受けられるのに、ど田舎や貧乏な家庭だと一回しか受けられない。」
穂高「しかも、違う検定同士比べるのにも限度がある。機関によって全然違う。」
美咲「これに加えて国語と数学は、某漫画のダイレクトメールが有名な会社との癒着がバレて記述式は中止。」
美咲「『身の丈に合わせて受験しろ』ってね。受験は平等である筈だが、それを認めないのはおかしい。貧乏な家庭では貧乏のままで終われ、と言う気かいな。」
穂高「そこに新型コロナウイルス(COVID-19)が襲来。」
美咲「まさか高3に上がる手前でこうなるとは...」
9月入学
穂高「で、澪標高校では校長先生が辣腕だからオンラインで授業してるけど、隣の八洲高校ではそうもいかない。友達があそこに通ってるけど、あそこは校長と教員の双方がICTに相当疎いそうだ。」
美咲「まさか、1学期はずっと休校、と言う気なのかな。」
穂高「コロナウイルスの流行具合にもよるが、我が大阪では暫くは厳しそう。」
美咲「澪標と八洲で学力差が極端に開きそう。」
美咲「ほんとにそう。そこで永田町や霞が関で9月入学の議論が再燃したわけだ。」
←永田町。
←霞が関。
穂高「全国一律に令和2年度を9月から振り出しに戻ってやるわけで。我が国では米作に年度を合わせたから4月始まりが明治以降綿々と続いているが、麦作が主流の欧米では9月が一般的。中国は華北が麦作、華南が米作で降水量1,000mmの位置にある淮河を境目にしているけど、首都が北京なのも影響しているかと。」
美咲「さらっと地理ネタが登場。で、9月入学にすると日本人が年度のズレがなくなり留学しやすくなり、外国人の目もより一層向くかもしれない。近年、京大や阪大では9月から3月までの時期に留学生に日本語の教育を行っているそうだ。」
←京大。
阪大↑
穂高「一方で、教授・研究者たちにとっても我が国の大学の方に向く可能性が高くなる。」
美咲「ベクトルが違うが、私が思うのは最近経団連も新卒一括採用に拘らなくなってきている、ということ。」
穂高「ということは、この辺りの世代はかつてのやり方があてにならないわけではないか。」
美咲「そういうこと。だから今からでも遅くない。初年度たる今年度に限っては来年の8月までとするのはどうだろうか。」
地理研究部0 プロローグ兼目次
地理研究部にようこそ。地理研究部の活動内容と部員を紹介します。
地理研究部は、これからの高校の地理Bの学習が捗るように作られました。たとえ先生がおらずとも、再開された学校の早いペースについていくことが難しくとも、これを見て勉強しましょう。
目次
0. プロローグ(本ページ)
- 地理研究部1 地球の姿 - 澪標高等学校
- 地理研究部2 地図の図法-1 - 澪標高等学校
- 地理研究部3 地図の図法-2 - 澪標高等学校
- 地理研究部4 大地形-1 - 澪標高等学校
- 地理研究部5 大地形-2・地図の歴史 - 澪標高等学校
- 地理研究部6 ケッペンの気候区分-1 - 澪標高等学校
- 地理研究部7 ケッペンの気候区分-2 - 澪標高等学校
- 土壌と植生
- 海洋
- 小地形
- 農業
- 林業
- 水産業
- 鉱業・エネルギー
- 工業
- 商業
- 観光業
- 交通と通信
- 貿易
- 村落
- 都市
- 人口
- 文化・民族・宗教
- 領土・国際協力
- 環境問題
- エピローグ
・富士穂高 高3。部長。地理オリンピックに出て、2次試験までは出場したことがある。架空の地図を描くのが趣味。自然地理が好き。
・谷川伊吹 高2。地理は地理でも交通機関や観光の話になると強い。趣味で駅スタンプを集めている。先述の理由のため、旅行の行程を組むのを手伝うよう頼まれることが多い。
・梅本美咲 高3。副部長。地理の模試を受けたら必ずと言っていいほど偏差値が70を超えている。実はご当地のグルメ情報に詳しい。地理の中では産業の部分が好き。
・星野美月 高2。地図を見るのが好き。図書館に行くと地形図のコーナーだけで2時間以上過ごせる。
今週のお題「激レア体験」
今週のお題「激レア体験」
それは青春18きっぷ 最初の旅行のこと。
夜の北陸本線を富山・金沢の方より南下し、大阪方面を目指していた。大聖寺を過ぎると、石川県を外れ、乗客はほぼいなくなった。
芦原温泉、福井、鯖江、武生など福井県の町を通過して、今庄にさしかかる。
←乗った列車。
←今庄駅。敦賀駅より北に20km。福井県南越前町にある。
今庄駅にて、車掌が一言。
「この列車は敦賀駅付近での沿線火災により、この駅で運転を見合わせます。」
一瞬、ムンクの叫びのような表情を見せてしまった。敦賀駅まで着くかわからない、ましてや米原、京都、大阪方面はもっとだ。
20分程の停車ののち、敦賀駅へ向けて北陸トンネルを抜ける。
敦賀駅に到着。向かいに止まっている列車に乗り換え。
←これに乗って米原方面へ。隣にはサンダーバードも来ていたが、乗車せず。
敦賀駅停車中に運転士と話をつけてくる。米原からの京都行きに、京都で大阪行きに。
米原では京都行きに接続。本来なら接続を取る列車であったために、これとは接続が取れた。
やっと関西に帰ってきた様な感じがした。
しかし、ここで衝撃の事実が発覚。京都では本来接続がある大阪行きを先に行かせて高槻行きに接続を取ることにした。
結局、高槻までしか行けなかった。高槻ではタクシー代行を使うことができた。これは18きっぷ の利用者でも同じだった。
最寄駅に到着したのは1時を過ぎた頃だった。