地理研究部2 地図の図法-1
←今回のトークに関するイメージ。(フリー素材。)
美月 「やっぱり世界地図っていいよね。地球儀と違って、距離、面積、方位、角度のうち二つまでしか正しく表せないけど。」
穂高 「何図法が好きなの?」
美月 「うーん、メルカトル図法もいいし、正距方位図法もいいなぁ。」
穂高「好きな子に告白するのに向いているは、やっぱりボンヌ図法だよな。」
美月「確かに形がハート形だからね。でも、気になる男の子に送ってみたけど、あかんかった...」
穂高「とんでもないこと聞いてもうた。すまない。緯線が同心円、経線が曲線。いわゆる円錐図法で正積図法に該当する。」
美月「正積図法といえば、もう一つはランベルト正積方位図法だよね。」
穂高「全然イメージが違うね。どっちにせよ面積と中心からの方位が等しい、ということは変わらないけど。」
美月「そりゃ、右は緯度経度が共に0度の地点が中心だけど、左は北極点が中心だからだよ。」
穂高「あっ、そうそう、これは国連の旗にも応用されている。」
美月「米国とソ連が揉めないようにそうしたからね。」
穂高「大正解。こうすると両国の面積がなるべく等しくなるから。」
美月「あとは正距方位図法ね。」
穂高「航空図に使われることが多いヤツだね、あれは。距離と方角さえ分かればいいから。」
美月「面積はいい加減なヤツね。日本中心のものだと、南米が伸びているね。」
穂高「緯度経度が両方0度、北極点、南極点、日本中心のものを用意してきた。」
美月「あと、紹介してないものあったっけ...えーと、メルカトル図法か。」
穂高「メルカトル図法は16世紀にはすでに存在していた地図。だからこの時代からコロンブスやマゼランが大航海時代を切り拓いていくわけだ。その当時はこんなのだった。」
美月「で、今はこんな感じでしょ。」
穂高「メルカトルの時代でも北極点や南極点は書けてないけど、今でもこれでは書けない。」
美月「面積や距離が赤道上に限って正しく、高緯度になるとどんどん拡大され、しまいに極点で面積は無限になってしまう。」
穂高「それを示す面白い図がある。美月が言ってくれたことを縮約するとこうなる。でも、分布図や世界全図として用いるには問題ない。無住地(アネクメーネ)だから。」
美月「それを改良したのが、ユニバーサル横メルカトル図法(UTM)!」
穂高「そう。我が国の中縮尺の地形図(1:10,000--1:200,000)で用いる図法がそれ。」
まとめ
・世界地図は、距離・面積・方位・角度のうち多くとも2つまでしか表せない。
・ハート形の地図は、ボンヌ図法。
・ランベルト正積図法は、面積こそ正しいが、外縁部の形が歪む。
・正距方位図法は、航空図に用いる。
・メルカトル図法は、世界全図や分布図、航海図に使う。
・UTM図法は、我が国の地形図で使われる。